最近話題の鳩山首相や蓮舫議員などの積極的な Twitter 利用をはじめ、国会議員においてもインターネットメディアは国民とのコミュニケーションツールとして欠かせないものになっている。省庁においても、「正確かつタイムリーな情報発信と公開」「インタラクティブな意見交換」といった国民との接点としての、Webサイトを使用したコミュニケーションが重要なことは周知の事実である。そんな中、今回実施した「Webユーザビリティランキング2010<省庁サイト編>」は、そのことを踏まえてWebサイトが国民目線、ひいてはユーザー視点で構築されているかどうかを評価したものである。
- ※ A軸:アクセス性、B軸:サイト全体の明快性、C軸:ナビゲーションの使いやすさ、D軸:コンテンツの適切性、E軸:ヘルプ・安全性
- ※ 総合スコアは、5軸に傾斜配分をかけて割り出したものであり、5軸の単純平均ではありません。(満点=100点)
- ※ Webサイトへのリンクは調査当時のものです。現在は内容が異なっている場合もあります。
順位 | サイト名 | 総合スコア |
---|---|---|
1 | 宮内庁
| 85.83 |
2 | 文部科学省
| 80.68 |
3 | 観光庁
| 77.71 |
4 | 国税庁
| 76.67 |
5 | 防衛省
| 76.32 |
6 | 金融庁
| 76.01 |
7 | 水産庁
| 74.55 |
8 | 中小企業庁
| 72.72 |
9 | 経済産業省
| 71.48 |
10 | 農林水産省
| 71.42 |
評価トピックス
国民とのコミュニケーションツールとして大変重要なタッチポイントであるはずのWebサイトだが、ランキング結果は昨年9月に発表した「主要企業Webユーザビリティランキング<企業サイト編>」の100社平均と比べて12ポイントのマイナスになっていることは非常に残念だ。企業側を指導する立場も持つ省庁にとっては、改めて自省庁のWebサイトを国民目線(ユーザ目線)でご覧いただきたい。
ナビゲーションの使いやすさに大きな課題
上記の評価軸のうち、ユーザビリティ上もっとも重要な評価軸である「ナビゲーションの使いやすさ」を筆頭に、ユーザーがWebサイトを利用して情報を得ようとする際の使い勝手に大きな影響を与える評価軸においてマイナス評価となっている。
個別に見てみると、「ナビゲーションの使いやすさ」の点では、民間の企業サイトでは一般的に普及しているグローバルナビゲーションとローカルナビゲーションによるスムーズなサイト内回遊補助機能が省庁サイトでは用いられていないケースが目立ち、ユーザビリティへの悪影響を与えた。これは普段民間企業サイトなどによくアクセスしているユーザーが省庁サイトを閲覧すると、改めて個別のナビゲーション機能を学習しなくてはならず、目的の情報に辿り着くことが困難になるといったことが否めない。
この省庁サイトのナビゲーション機能においては、インターネット黎明期で用いられていたようなメニューをフレームで切り出す手法や、サイトマップのみでしかそのWebサイトの全体像が分からず、都度そこに戻ってからでないとページ遷移できないといった、非常に使い勝手の悪いWebサイトも存在した。
またグローバルナビゲーションはあるものの、そのメニュー数があまりに多い、またラベルの意味が分かりづらい、といった国民(ユーザー)目線で検討されたということが認識しづらいWebサイトも散見された。
「ヘルプ・安全性」への配慮については民間企業サイトと大きな差が
さらに「ヘルプ・安全性」において多くの課題が出たのも特徴的である。一般民間企業サイトにおいては、「資料請求」、「メルマガ・会員登録」などは潜在顧客囲い込みといった明確な目的の中で、さまざまな創意工夫を凝らし、かつ個人情報取得に配慮したユーザビリティの高い企業が目立った。一方で省庁サイトを見てみると、個人情報取得プロセスにおいてのユーザビリティの悪さ、FAQを中心とするヘルプ・サポートコンテンツの不足といった利用者が気にするだけでなく、昨今ますます重要性を増す個人情報管理関連のコンテンツへの配慮が少ないことは大きな問題であるといえる。
そんな中で、上位ランキングの省庁サイト(「宮内庁」「文部科学省」など)においては、先の民間企業サイトと遜色ないユーザビリティを担保しており、国民(ユーザー)目線に立った情報公開や意見交換といったコミュニケーションへの前向きな姿勢がうかがえた。